別府温泉
別府駅周辺に位置する市街地の温泉街。別府の中心地であり、毎年昼夜を問わず観光客が多く訪れるという、繁華街のある温泉郷。単純温泉だけでなく、食塩泉、重曹泉、重炭酸土類泉など多数の温泉が湧き、豊富な泉質を誇る。
また別府温泉の特徴は「
竹瓦温泉」に代表される歴史ある市営温泉や、町内会経営の共同温泉(一部は観光客非開放)の存在だ。内湯のみで簡素な作りだが、温泉フリークにとって最高のスポット。料金も100円の所がほとんど。
元寇の役の戦傷者が保養に来たという楠温泉(2005年湯量減少から閉鎖)など、古くから流川の川沿いにいくつもの温泉が湧き出し、江戸時代後期の温泉番付にも登場する。昔の別府の玄関口旧別府港(楠港)の開港とともに発展した温泉街で、旧港の近くには入母屋破風の外観を持つ別府市営温泉「
竹瓦温泉」があり、温泉のほかに砂湯(温泉で温められた砂を体にかけてもらう)が楽しめる。鎮守神である温泉神社は現在は八幡朝見神社に合祀されており、楠港の開港時にまつられた波止場神社は竹瓦温泉の北にある。竹瓦温泉と竹瓦小路木造アーケードは、「別府温泉関連遺産」として、2009年(平成21年)2月6日に近代化産業遺産に認定されている。
観海寺(かんかいじ)温泉
朝見川上流の山の斜面の古い街道沿いにある温泉街で、見晴らしが良い。泉質は、単純泉、含重曹食塩泉など。大型リゾートホテルと、室内温水プール、ボウリング場、劇場や大展望露天風呂などの「
杉の井ホテル」が有名。
鉄輪(かんなわ)温泉
古くから湯治場として親しまれ、多くの人が訪れる事でも有名。
この鉄輪温泉は、時宗の開祖で有名な一遍上人が整備したと言われており、別府八湯の中でも特に長い歴史を誇っている。湯治場として利用される事も多い鉄輪温泉には旅館や民宿の他に、素泊まりの宿である貸間旅館も数箇所存在している。貸間旅館に逗留する湯治客は、温泉の蒸気を利用した地獄釜を使用し自炊を行っているのだとか。
鉄輪温泉周辺には地獄めぐりの名所となる源泉が存在するほど、泉質も単純温泉だけでなく、含鉄泉・硫酸泉・塩化物泉など様々な泉質があり、湯治場としても療養目的に応じた温泉を選ぶ事ができる。
明礬(みょうばん)温泉
別府市街から少し離れた伽藍岳の中腹標高400mの所にある地熱地帯。その名の通り江戸時代から明礬(湯の花)が採取されてきた山の温泉街。湯の花の採取施設である湯の花小屋は、一部見学が可能。明礬温泉の湯の花製造技術は、国の重要無形民俗文化財に指定されている。泉質は、酸性硫化水素泉、緑ばん泉で神経痛・リューマチ・皮膚病に効能があり、別府市営温泉「鶴寿泉」がある。コロイド硫黄を含んで白濁した温泉が多いが、「
別府温泉保養ランド」では美肌効果の高い『泥湯』が楽しめる。
浜脇(はまわき)温泉
朝見川の河口一帯の温泉街で、東別府駅(浜脇駅として開設された)前の海沿いに位置し、別府市営温泉「浜脇温泉」「湯都ピア浜脇」の他は小さな共同温泉が多い。名前の由来となった砂浜に温泉が湧く様子は今は見られないが、鎌倉時代には八幡朝見神社の門前町として栄え、大友氏が温泉奉行を置いて温泉を整備した。江戸時代後期の文化14(1817)年に書かれた温泉番付「諸国温泉功能鑑」では、西の前頭三枚目で別府温泉よりも上位にランキングされ、河口の船溜も湯治舟で賑わっていた。泉質は、は、炭酸水素泉、塩化物泉など。
堀田(ほりた)温泉
観海寺温泉の奥、由布院温泉へ向かう九州横断道路(やまなみハイウェイ)沿いにある源泉地帯で、江戸時代に開かれた静かな山の湯治場である。湯量が豊富で、別府市内の共同温泉などへの給湯もされている。大分県道52号別府庄内線沿いに別府市営温泉「堀田温泉」がある。泉質は、弱酸性・低張性・高温泉の硫黄泉である。
亀川(かめがわ)温泉
亀川駅すぐの海沿いにある温泉街で、泉質はナトリウム・塩化物泉。大正時代に開院した海軍病院(現・独立行政法人国立病院機構別府医療センター)を中心に発展した。駅近くには別府市営温泉「浜田温泉」と浜田温泉資料館がある。一遍上人が九州に上陸した地点と言い伝えられている上人が浜(別府大学駅近く)に、別府市営温泉「別府海浜砂湯」がある。
柴石(しばせき)温泉
血の池地獄や龍巻地獄の一帯の由緒ある温泉で、895年に醍醐天皇、1044年に後冷泉天皇が入湯したといわれている。柴石川に沿った谷間に別府市営温泉「柴石温泉」がある。泉質は、含鉄泉、硫酸塩泉など。
折角の別府八湯、温泉八十八ヵ所めぐり(詳細は
こちら)するのも楽しい。また、由布市との境界付近には塚原温泉という温泉地、さらに足をのばせば、全国的に人気の由布院温泉もある。九州の温泉は魅力的だ!