『本格焼酎』のウンチク  

本格焼酎の製造元は約700で、大半が九州・沖縄の業者である。

本格焼酎については過当競争に陥るのを防ぐため、酒税法の規定を根拠に米、麦、サツマイモ、そばを原料とする焼酎製造の新規参入は認られていない。2005/11、国税庁は、本格焼酎(乙類)の製造免許の規制を緩和し、年明けにも条件付きで新規参入を認めると発表した。新規参入が認められるのは、1940年に酒税法が制定されて以来初めてとなる。焼酎ブームで需要が急拡大し、税収を期待したのか、単なる規制緩和なのか、新規参入の条件は下記となる。
@焼酎の製造場所がある市町村で生産されたコメなどを主原料とする
A製造場所がある都道府県内で、既存のメーカーの出荷量が、消費量を下回っている
B製造数量は当分の間、年間百キロリットルを限度とする
ただし、鹿児島、熊本、大分、宮崎、福岡、沖縄の六県は、焼酎の生産量が多いため、対象外。

中小の製造元にとっては、厳しい規制緩和なのかもしれないが、安くて美味い本格焼酎が誕生する事を切に願う。

さて、本格焼酎を含むお酒の種類だが、製造方法によって次の3種類に大きく分類されます。

分類
醸造酒 日本酒、ビール、ワイン
蒸留酒 焼酎、ウィスキー、ウォッカ、ブランデー等
混成酒 リキュール、甘味果実酒、みりん、合成清酒等

蒸留酒とは、発酵によって生れた酒をさらに蒸留して作った酒のことで、アルコール分が高いのが特徴です。ウィスキーやウォッカ、ブランデーなどが蒸留酒です。世界には多くの蒸留酒があります。日本でも焼酎という蒸留酒があります。次は、酒税法上での『本格焼酎』の位置付けを見ます。

種類 品目 製造方法 規定
清酒  醸造酒
(平行複発酵)
 
ビール  醸造酒
(単行複発酵)
 
果実酒類 果実酒
甘味果実酒
醸造酒
(単発酵)
 
合成清酒、みりん、リキュール類 混成酒  
焼酎 甲類
(ホワイトリカー1)
蒸留酒 蒸留方法 :連続式蒸留
アルコール度数 :36度未満
原材料 :主に糖蜜。たまに風味付けのため、穀物も使用。
特徴 :純粋なエチルアルコールに近く、無味。
乙類
(ホワイトリカー2、
または本格焼酎)
蒸留方法 :単式蒸留
アルコール度数 :45度以下
原材料:
 一次仕込み…米または麦
 二次仕込み…穀物、黒糖、ナツメヤシなど
特徴 :原料の独特な香りや味がある。
蒸留方法
単式
蒸留
蒸留酒は、発酵させたアルコールを含んだ液体を加熱・煮沸させ出てくるアルコールや揮発成分を含んだ蒸気を冷やし凝縮したものです。この製造方法を単式蒸留といいます。蒸留機の性能からエチル・アルコール以外の成分も多く出るので、原料の違いがそのまま酒の風味となってあらわれます。
連続

蒸留
日清戦争後の明治28年ごろ、ヨーロッパから連続式蒸留機が輸入され明治40年代にはいってから、しょうちゅう甲類はつくられはじめ、『新式焼酎』とよばれました。単式蒸留法により採れた焼酎を蒸留する操作を何回も繰り返す事によりアルコールの純度が増し、アルコール度数が高くなります。この操作の繰り返しを効率良く行うため造られた連続式蒸留機で得た蒸留酒(85度〜97度)を水で薄めた焼酎を甲類焼酎といいます。この蒸留法を連続式蒸留法といいます。
ウィスキー類 ウィスキー
ブランデー
蒸留酒  
スピリッツ類 スピリッツ
原料用アルコール
蒸留酒  
雑酒 発泡酒
粉末酒
その他の雑酒
 

焼酎の中でも、『本格焼酎』と呼ばれるためには、原料や製造方法により規定があります。

本格焼酎[原料や製造方法により規定]
 →次のアルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機(単式蒸留機)により蒸留したもの(水以外の物品を加えたものを除く)

穀類又はいも類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたもの 米焼酎、麦焼酎、いも焼酎、そば焼酎
穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたもの 全こうじ焼酎
清酒かす及び水を原料として発酵させたもの、清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたもの、又は清酒かす かすとり焼酎
砂糖(酒税法施行令第四条二項に規定するものに限る。)、米こうじ及び水を原料として発酵させたもの 黒糖焼酎
穀類又はいも類、これらのこうじ、水及び右記に掲げる物品を原料として発酵させたもの(その原料中穀類及びいも類(これらのこうじを含む)の重量の合計が水以外の原料の重量の十分の五を越えるものに限る) あしたば、あずき、あまちゃづる、アロエ、ウーロン茶、梅の種、えのきたけ、おたねにんじん、かぼちゃ、牛乳、ぎんなん、くず粉、くまざさ、くり、グリーンピース、こならの実、ごま、こんぶ、サフラン、サボテン、しいたけ、しそ、大根、脱脂粉乳、たまねぎ、つのまた、つるつる、とちのきの実、トマト、なつめやしの実、にんじん、ねぎ、のり、ピーマン、ひしの実、ひまわりの種、ふきのとう、べにばな、ホエイパウダー、ほていあおい、またたび、抹茶、まてばしいの実、ゆりね、よもぎ、落花生、緑茶、れんこん、わかめ

焼酎と他の蒸留酒を区別するため、原料による区別をもう少し詳しく見てみます。

原料 酒類
糖類 果実 ブランデー(ブドウ)
カルバドス(リンゴ)
キルシュ(サクランボ)
ポアール・ウィリアム(洋ナシ)
ミラベル(イエロープラム)
クエッチェ(バイオレットプラム)
焼酎(ナツメヤシ)
糖蜜 ラム
焼酎(さとうきび)
デンプン 穀類他 ウィスキー(大麦、その他の穀類)
ウォッカ(穀類、イモ類)
アクアビット・シュナプス(穀類、イモ類)
焼酎(米、蕎麦などの穀類、サツマイモ)
その他 テキーラ
メスカル(リュウゼツランの株)

焼酎の原料として使えないのは、
@発芽させた穀類 → ウィスキーになるから
A果実 → ブランデーになるから
B糖蜜や砂糖等の糖質を含む物 → ラムになるから
 ただし、Aについては乾燥させたり煮詰めた果汁も使用できませんが、なつめやしの実だけは原料とする事が出来ます。また、Bについては奄美諸島に限り米麹を併用する事を条件に黒糖を原料として焼酎を製造する事が出来ます。これは第2次世界大戦後、沖縄同様アメリカの統治下に入っていた奄美大島が昭和28年日本へ復帰した時、黒糖焼酎が生活の酒として根付いていたため特例として認められたからです。また、製造法においても以下の制約があります。
C白樺の炭を用いて焼酎を濾過しない → ウォッカになるから
D蒸留の際に発生するアルコールに他の成分を浸出させない → ジンになるから

主原料の違いで焼酎乙類を分類すると3タイプに分けられます。

泡盛 沖縄県特産のしょうちゅうで、黒こうじ菌を繁殖させた米こうじだけでつくられます。 土中に埋めたカメで長期熟成させたものは古酒(クース)といい、特に珍重されています。
もろみ取り焼酎 米こうじのもろみに、穀類、イモ、黒糖蜜などを配し、発酵、蒸留したものです。 球磨の米しょうちゅう・壱岐の麦しょうちゅう・鹿児島のイモしょうちゅう・宮崎のソバしょうちゅう・奄美大島の黒糖しょうちゅう・などがあります。
かす取り焼酎 清酒を絞った残りかすに、もみがらを混ぜ、せいろに並べてから蒸気を通し、カスの中のアルコールを回収したものです。もみがらの焦げ臭がついた強烈な香味のついたものです。 地方によってはさなぶり(早苗餐)しょうちゅうとよびます。

焼酎(お酒)の主な成分は水とアルコールです。アルコールは酵母が糖を食べて造ります。これを「アルコール発酵」と言います。原料として穀類や芋類を使った場合の酒造りの工程を説明します。

@麹(デンプンを酵母が食べる事の出来る糖に分解)
酵母は糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物。米・麦などの穀類や薩摩芋等の芋類はワイン(ぶどう)と違い、主成分がデンプンなので、まずは酵母が食べる事の出来る糖(ブドウ糖・果糖・麦芽糖など)に変化させる必要があります。この作業を「糖化」といいます。デンプンは酵母が食べられる糖が沢山集まって手をつないでいるので酵母が食べられない状態です。この手と手のつながりを切り、酵母が食べやすくなる糖にする“はさみ”の役割をするのが「酵素」です。この酵素(はさみ)を造るのが「麦芽」や「麹」です
※人間にとって良い変化を「発酵」と呼び、悪い変化を「腐敗」といいます。

Aもろみ(酵母)(糖をアルコールにする)
麹に水と「酵母」を加えると「もろみ」という状態になり、酵母は糖を食べてアルコールと炭酸ガスを造る「アルコール発酵」を始めます。泡盛であればもろみに十分なアルコールが出来た所で蒸留し泡盛が得られます。米・芋焼酎等は、麹に水と酵母を加え「一次もろみ」を造りアルコール製造の原動力である酵母を増やし、ここに二次原料である米、芋、麦、黒糖などを加え「二次もろみ」を造り蒸留し『本格焼酎』を造ります。二次原料の種類によって『本格焼酎』の味や香り等に独特の性格が現われます。こうした糖化と発酵の過程を経て、焼酎が出来あがるのです。また、麹と酵母を同時にはたらかせる発酵技術を、並行複発酵と言います。

麹菌について
麹菌の中にはいくつか種類があります。日本人に一番身近な麹菌は「黄麹菌」と呼ばれる種類で、この黄麹菌は清酒、醤油、味噌を作る時に使われるものです。焼酎の製造では、主に「黒麹菌」と「白麹菌」の2種類が使われます。
黒麹菌 明治時代末期まで沖縄以外では焼酎の仕込みに清酒と同様に黄麹菌を使っていました。しかし、冬でも温暖な気候の九州地方で黄麹菌を使うと、もろみが醗酵中に腐敗する恐れがありました。また、黒麹菌の方が黄麹菌よりもみかんの酸味であるクエン酸をたくさん作り出してくれます。このクエン酸がもろみの中の雑菌を殺し(但し、酵母はこのクエン酸に強いので死にません)、腐敗防止と香りを良くしてくれるという利点から、本土でも一部の蔵元では黒麹菌を使用するようになりました。最近では「黒麹菌」が見直され、多くの蔵元が黒麹を使用して、独特の風味やコクを持った差別化商品が造られるようになっています。
白麹菌 白麹菌とは昭和期に入って黒麹菌から突然変異で生まれた菌です。現在沖縄を除く焼酎の産地では、この白麹菌が主に使われています。その理由は、黒麹菌の胞子が黒く身体や衣類が汚れるので、白麹菌の使用が広がって行きました。スッキリとした味わいで、飲みやすい焼酎が作れます。


B熟成&貯蔵(味を落ち着かせる)
蒸留した直後の焼酎は、味が粗く煙臭(ガス、煙の臭い)がしたり、穀物に含まれていた油成分により白く濁っています。この焼酎をタンクに貯蔵しますと、煙臭が消え、油成分がタンクの表面に浮かんできますのでこれを除去します。普通はこの後数カ月間貯蔵し、味が慣れてきた頃ブレンドして品質を整え瓶詰めされます。特に沖縄の泡盛では、3年以上貯蔵させた物を「古酒(クース)」と呼び、珍重されます。『本格焼酎』は3年以上貯蔵した焼酎が50%以上含まれていると「長期貯蔵」を製品名に表示できます。

本格焼酎は単式蒸留で蒸留されますが、この蒸留には常圧蒸留と減圧蒸留の2通りがあります。常圧蒸留と減圧蒸留に比べるといくつかの特徴があります。
@多くの微量成分を含む。
A濃厚な味わいになる。
B蒸留直後は香味ともに粗い。
C熟成により酒質が向上する。
D個性的でクセのある酒質になりやすい。
減圧蒸留は、大気圧(1気圧)より低くして蒸留するため、沸点が下がり、低沸点の成分が蒸留となり、高沸点の高級アルコールなどが少なくなり軽くてきれいな原酒が得られる。その為、米・麦・そばなどの穀類原料の焼酎に用いられる。また、芋、泡盛などの風味を楽しむ焼酎には常圧蒸留が用いられる。

次にどのような『本格焼酎』があるのか見ていきます。主な『本格焼酎』の生産地は、九州、沖縄など南の地方に偏在しています。原料はさつま芋、米、麦、蕎麦など沖縄の泡盛を除くと各地域の代表的な農産物で作られています。九州以北の地域では、清酒の醸造過程でできる清酒粕や米を原料とするものが多いのが特徴です。またこれ以外に、とうもろこし、かぼちゃ、胡麻、ジャガイモ、ナツメヤシ、わかめ、緑茶、人参などいろいろな原料で全国で焼酎は造られています。現在、焼酎(乙類)を生産しないのは宮城県と大阪府だけです。味わいはバラエティーに富み、原料の種類や、麹菌、酵母、蒸留方法、濾過の方法、熟成法によって風味がそれぞれ変わります。

  主産地
詳細
黒糖焼酎 奄美諸島 焼酎は約五百年前にシャム(現在のタイ)から沖縄に由来したと伝えられ、その後、沖縄から奄美群島に伝来し、製造技術に様々な改良工夫を加え、現在の『本格黒糖焼酎』が生まれました。南国の太陽をいっぱいに浴びて育ったサトウキビを原料にした黒糖焼酎には、自然の味わいがそのまま溶け込んでいる。奄美群島(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)が昭和28(1953)年アメリカから返還された時、奄美の主要農産物である黒糖(さとうきび)で焼酎を造り飲んでいた実績が評価され、黒糖を原料にしての酒類製造は酒税法で奄美群島だけに認められました。奄美の特産品「黒糖焼酎」はその野性味が米麹とまじり合い、まろやかな風味で初めての方にも抵抗なく飲める親しみやすい焼酎です。原料からいうとラム酒(ラム酒もさとうきびから作られている)の親戚です。
黒糖焼酎が造れるのは奄美だけです。黒糖を使った蒸留酒には前述の通りラム酒があるが、これはジャンル的には雑種に当たり、当然ながら酒税が高い。そこで奄美の産業を守る特例処置として芋焼酎と同様に一次仕込みに米麹を使う手法を取り入れる条件で、ラム酒との差別化を図り、焼酎のジャンルに入る事ができたという経緯があります。ですから、黒糖の原料となるサトウキビの採れる沖縄では、黒糖焼酎は造られておりません。
泡盛 沖縄 @日本最古の天然蒸留酒
泡盛は琉球が南の国々との貿易が盛んだった15世紀初頭にシャム(現在のタイ)より入ったラオロンを祖としています。その製造法はインディカ米(硬質)を原料にし、全麹仕込みで始まります。その際用いる麹菌が沖縄独特の黒麹菌(クエン酸を良く出す)です。それを醗酵させ、もろみを作ることにより、泡盛特有のきりりとした風味と深い香りが出てきます。それを蒸留して誕生する酒の一滴一滴が、泡盛です。
A首里の城下町に伝わる由緒正しき銘酒
琉球王朝時代、泡盛は貴重な酒として王家の厳しい管理のもとで醸造されるようになり、首里の城下町・崎山、赤田、鳥堀の三箇所に住む40人の職人にのみ酒造りが許されました。しかもその厳重さたるや命がけで、"金庫の鍵は番頭に預けても酒蔵の鍵は主人が離さなかった"とさえ言われています。随所に残る杜の跡、緑深い丘陵を望む明媚な古都・首里で伝統に守られ、育まれてきたのが銘酒泡盛です。
B時の経つ程に深まるまろやかさ
泡盛は長期間貯蔵熟成させる事によって味、香りともに、深みが増してきます。3年以上貯蔵したものを古酒(クース)といい、その風味のまろやかさ、上品な香気は、比類なき素晴らしさで昔から人々の間で親しまれています。泡盛の魅力にはまった人は、ほとんど古酒好きとなります。
C古酒の造り方
まずは、親酒(最も貯蔵年数の長い酒)を準備する。それから年代順に酒を揃える。親酒から汲み出した量をAで補う。AはBからという風に順じ補うやり方が『仕次ぎ』である。以上の工程で常時美味しい古酒が飲めることになります。
米焼酎 熊本県 熊本県球磨郡、人吉市周辺はかって球磨地方といい、薩摩地方と並んでいち早く米焼酎造りが始まった地域です。薩摩が芋焼酎に移行していく中、球磨地方では米焼酎の生産が伸びていく。球磨川の伏流水や気候条件に恵まれた事もあり質、量ともに成長し、「球磨焼酎」は米焼酎の代名詞になりました。主食であり清酒の原料でもある米を使った焼酎は、もちろん球磨地方ばかりではなく全国にあります。ただ球磨焼酎のメーカーは焼酎専業ですが、本州などの場合は清酒と並行して造られています。本場球磨地方では、ガラという酒器に入れ、これを直接火にかけて燗をする"直燗"というスタイルがかつて主流でしたが、アルコール度数のやや低いものが多くなったこともあり、アルミの器に入れてお湯でお燗するようになりました。お湯割り、水割、オンザロック、食べ物も特に選びません。
麦焼酎 長崎県壱岐
大分県
宮崎県
福岡県
壱岐は麦焼酎の発祥の地です。江戸末期には生産が始まっていたと言われ、明治時代に入って麦の生産が増大するとともに、蒸留される焼酎の量も増えていきました。昭和に入ると沖縄の泡盛に使われる黒麹菌が導入され、生産量は一気に拡大しました。クエン酸を生産する黒麹菌は、暖地でもモロミの腐敗を防ぐ事ができ、壱岐地方の焼酎生産に大いに貢献したのです。ただし、今では、同じクエン酸をつくる能力のある白麹菌が使われています。壱岐の他には宮崎県と大分県が麦焼酎の主産地として挙げられます。壱岐は麦と米で麦焼酎を仕込みますが、今では大分や福岡の麦100%の麦焼酎の方が流通量は多いです。原料の麦は4割ほど精白した大麦で、小麦が使われる事はほとんどありません。麦焼酎には麦特有の香りがあり、まろやかで甘味のある味わいが特徴です。
伝統的な壱岐焼酎とは、主原料は麦、麹は米、米と麦の割合は1:2という。この製法を守る蔵が壱岐島に7蔵あるという。
天の川酒造(郷ノ浦町)、山乃守酒造場(郷ノ浦町)、玄海酒造(郷ノ浦町)、猿川伊豆酒造場(芦辺町)、壱岐の華(芦辺町)、壱岐焼酎協業組合(芦辺町)、重家酒造(石田町)である。
【飲んだことのある焼酎】下町のナポレオン「いいちこ」(宝酒造)、「情け嶋」(東京・八丈島)、「壱岐」(玄海酒造)
そば焼酎 宮崎県
長野県
宮崎県では古くからいろいろな穀物で焼酎が作られてきました。作られる種類は、南部は芋焼酎、西部は米焼酎というように、それぞれの地域で取れる穀物により異なっています。なかでも有名なのが、高千穂地方で作られているそば焼酎です。原料の蕎麦は、脱穀して実だけを使う場合と、殻つきのまま粉砕して使う場合とがあります。近年は、そばの産地として有名な長野県もそば焼酎をいろいろ生み出しています。そば焼酎には蕎麦特有の香りと軽快な味があります。こだわりのお蕎麦屋さんでは、そば焼酎を蕎麦湯で割ったものを提供しています。
芋焼酎 鹿児島県
宮崎県
伊豆諸島
甘藷(さつま芋)の主産地である鹿児島県全域と宮崎県下の平野部で作られています。また、これら南九州から遠く離れた東京都下の伊豆諸島にも見られます。伊豆諸島で芋焼酎が作られるのは、江戸時代に薩摩人によって芋の栽培と蒸留法が伝えられた為です。原料の甘藷は、食用の芋のように皮が赤くて細長いものではなく、皮が白いか淡黄色で、丸くて大形の、でんぷんを多く含んだ品種が使われています。食べて美味しいものが醸造に向くとは限りません。芋焼酎には、蒸し焼きにしたサツマイモの芳香があり、原料の特性がそのまま製品の風味特性になっています。風味はソフトで甘みがあり、水や湯をどんな比率で混ぜても風味のバランスが崩れないのも特徴です。やっぱりお湯割りが一番でしょう。
通常芋焼酎のラベルを見ると、原料の欄には『さつまいも・米麹』と書かれています。どんな焼酎でも、麹は「米麹」です。芋焼酎で、「芋麹」を使っているのは、2銘柄(いも麹芋:国分酒造、宝山芋全量:西酒造)だけです。米はタイ米(東南アジアのインディカ米)を使用するのが一般的ですが、最近では日本産のうるち米や最近では酒造好適米を使用する蔵もあるそうです。芋焼酎を造るのに使用されるサツマイモは、コガネセンガンと言う品種が主流で、その他にはジョイホワイトやシロユタカといったものも使われる事もあるそうです。さつまいもの収獲は通常8月から10月なのでこの時期に合わせて芋焼酎の仕込みを行います。
酒粕焼酎 全国 全国各地の清酒メーカーで作られています。「まず清酒ありき」の清酒文化圏でしか造られていません。(昔は、清酒蔵から酒粕を買ってきて酒粕焼酎を造った焼酎専業蔵もありましたが、
醪(もろみ)取り焼酎
醪を造って蒸留した焼酎を「醪取り焼酎」という。これに対し、酒粕にモミ殻をまぶして蒸留したものを「粕取り焼酎」と呼ぶ。現在、ほとんどの本格焼酎は水を加えて醪を造っているため醪取り焼酎である。酒粕が原料であっても、水を加えて醪を造り発酵させて得られるものは、醪取り焼酎に分類される。従って、原料名の記載箇所に酒粕のみであれば「粕取り焼酎」で、酒粕、米麹と記載されている場合は、「醪取り焼酎」となり米焼酎に分類されると考えた方がよい。粕取り焼酎のように固形分に含まれるアルコールを蒸留する酒類には中国の白酒などがある。本格焼酎のように麹菌を利用した醪取りの蒸留酒は、日本特有のものである。
粕取り焼酎
清酒を造る際に圧搾・濾過された後に残る酒粕には、約8%ものアルコール分が含まれる。その酒粕を蒸留してもう一度酒を造ったのが粕取り焼酎。早苗饗焼酎とも言う。伝統的製法として、板状に固まつている酒粕にモミ穀を混ぜセイロに入れ、下から蒸気を通して蒸留する。最近では、酒粕を水に烙かして醪にしたものを蒸留する方法もある。しかし、これは醪取り焼酎であり、粕取り焼酎ではない。米焼酎に分類する場合もある。
【飲んだことのある焼酎】「喜楽三年貯蔵」(神奈川:久保田酒造)、「あつぎGold」(神奈川:盛升)
清酒焼酎 全国 清酒と同じ製造法でモロミを醗酵させ、これを固形物(酒粕)と液分(清酒)に分けて、液部のみを蒸留してつくる焼酎です。したがって、他の焼酎とは麹菌も酵母も異なり、おのずと風味も違ってきます。味わいは軽いタイプで香りがよく、オンザロックや水割などがよく合います。また冷やしてストレートでもいけます。
ごま焼酎 福岡県 紅乙女酒造が有名。 
その他 全国 宮崎県のとうもろこし焼酎
高知県の栗焼酎
北海道のじゃがいも焼酎や長いも焼酎
佐賀県の菱焼酎
など


甕(かめ)壷仕込みって?
こだわりの酒の代名詞にもなっているかめ壷仕込み。昔ながらの製法で、一次もろみや二次もろみをタンクではなくて、かめ壷に入れて仕込むことをいいます。しかしいくら大きなかめ壷といっても10石(1石=一升瓶で100本)程度です。もろみの管理も難しく大量生産できません。しかし鹿児島の焼酎蔵は、地域に一つあって大量生産する必要が無かったため、今もこの手間の掛かる「甕壷仕込み」を行っている所も数多くあります。
木桶蒸留機って?
木桶で作った昔ながらの蒸留機のこと。こだわりの蔵ではいまでもこのような木桶を使うところが散見されます。手入れがたいへんなうえ使用できる期間が4〜5年と短期間の反面、木の香りがもろみに移り柔らかい味わいになるなど大きなメリットがあります。
「貯蔵」の方法って?
「タンク貯蔵」と「甕壷貯蔵」があります。どちらの方法であれ、一般的には蒸留して約3ヶ月じっくりと寝かせ味がなじんでから瓶詰め・出荷されます。またもっと個性的な焼酎に育てるために長期間の貯蔵を行います。その1つとして、現在注目を浴びている「樽貯蔵」があります。「樽」といっても様々で、「樫(オーク)樽」・「シェリー樽」、ウイスキーやブランデー、ワインを貯蔵した古樽などあります。この場合、本来の焼酎と言うよりもハードリカー(ウイスキー・ブランデー)に近い風味になります。「喜楽三年貯蔵」(神奈川:久保田酒造)は、古樽を使用して貯蔵されています。
「濾過」って?
清酒と同様に成分の安定のため、「濾過」は行われます。貯蔵している間にも、油(フーゼル油)などが出てきます。コレを丁寧に取り除くのもケミカルなガス臭を取り除くのも「フィルター濾過」です。焼酎独特の風味を取り除くときには、「イオン交換濾過」を行います。このような作業を経た焼酎は、この後「ブレンド」「瓶詰め」され出荷されます。
「砂糖入り焼酎」って?
酒税法で、焼酎はエキス分2度未満となっている。ということは砂糖を2%近くまで入れられるということである。昭和43(1968)年に焼酎の品質の多様化をはかるため、酒税法が改正されたが、現在の市販酒では見かけられなくなってきた。砂糖を入れなくとも、原料本来に十分にうまみがあるためである。本格焼酎業界の自主基準「しょうちゅう乙類の表示に関する公正競争規約」で、砂糖を加えた場合、「砂糖添加」と原材料の次に表示することになっている。一方、甲類においてはこの規約がなく、輸入酒に砂糖が混和されていながら、表示のないものがある。


韓国の焼酎事情 

韓国の焼酎は、作り方によって蒸留式と希釈式に分かれます。蒸留式は1965年以来、政府の米制作により30年間製造を禁止されていましたが、最近復活しました。伝統酒と呼ばれる焼酎は、この蒸留式がほとんどで、日本の乙類に当たります。しかし、一般的に飲まれているのは、希釈式の方です。アルコール度数の高い元酒を水で25度以下に薄めるタイプなので、ストレートやオンザロックで飲むには一番というわけです。最近日本でもこの希釈式焼酎(日本でいう甲類焼酎)を飲む人が増え、シェアも伸びているようです。韓国に焼酎が伝わったのは、日本よりも早く高麗の末期(1300年頃)と言われ、当時は身分の高い人だけが飲める高級なお酒だったとか。その後の朝鮮時代末期になってやっと大量生産によって庶民が手にできるお酒になり、近年では、政府の政策によって値段を安く抑えているそうです。原料がバラエティに富んでいる日本の焼酎に比べ、韓国の焼酎は米と麦、他にじゃがいも、とうもろこし、さつまいもと意外にシンプル。韓国焼酎のシェアの50%を占めると言われている日本でも有名な「眞露」(ジンロ)は米と麦が原料です。また、それぞれの地域で愛されてい る焼酎もあり、全羅南道では「宝海(ボウヘイ)」、江原道では「鏡月(キョウゲツ)」、安東では米100%の伝統的な焼酎で45度という度数でも二日酔いがないという「安東焼酎(アンドン・ソジュ)」があります。

飲んだことのある甲類焼酎 
銘柄 生産 一言
眞露(25度)
韓国 希釈式焼酎。クセがほとんどなく、かなり呑みやすい。本国仕様のレギュラーと比べて淡麗でやや辛口。
鏡月(25度) 韓国 希釈式焼酎。値段が安く重宝。これもかなり呑みやすい。
純(25度) キッコーマン 結構クセがある。
TRIANGLE Indigo(25度) サントリー 非常に呑みやすい。ビンがスタイリッシュ。