伊豆長岡温泉について

多くの温泉地でホテル・旅館が減少していく中、伊豆長岡温泉はここ20年間ほとんど施設の件数も減らず、逆に近年新規オープンする施設さえある人気の温泉地である。

■温泉集中管理について
源泉を持っているホテルや旅館でも、直接用いて浴場へ提供している訳ではない。伊豆長岡の温泉は全て、伊豆長岡町温泉事業協同組合というところへ、一旦集められ、そこから供給されている。これを「温泉集中管理」と言う。伊豆長岡町は温泉集中管理を導入しているので、敷地内にある源泉だからといっても、勝手にその温泉を使用する事ができないのである。
※伊豆長岡町温泉事業協同組合
→有限な温泉資源を長期的に無駄なく保護する、という目的の元にS.51/9に設立された。

湯らっくす公園」に、詳細な説明があったので下記に紹介します。

伊豆長岡温泉集中管理配管図
 伊豆長岡の温泉湧出範囲は、町の南東部にあって南北に走る小丘陵、通称・源氏山(南北1.2km、東西0.4km、標高100m)を中心とした東西・南北共に約2kmに及び、狩野川対岸の韮山町の一部が含まれています。温泉はこの地域の基盤をなす「江の浦断層」、「長岡層」、「日守層」などと呼ばれる凝灰岩層の割れ目に貯留された「層状温泉」で、その縦の補給路は、源氏山の東の麓を南北に走る小断層であろうとされています。
 泉質は無色透明で、ほのかに湯の香りのする弱アルカリ単純泉、泉温は50〜70℃を示すものが多いです。
 当地の温泉の歴史を尋ねると、文書として出てくるのは鎌倉時代の「吾妻鏡」ですが、付近の山地に住んでいた縄文人や狩野川沿いの弥生人たちが湯けむりを目当てにやってきて入浴しただろうなど、想像するとなかなか楽しいものです。
 どこの温泉地でもほぼ同様に、観光地として繁盛してくると温泉の不足が発生します。そのために源泉を求めて掘削するという繰り返しを「温泉資源も有限である」ことに気づくまで続けてきたのが現状です。
 伊豆長岡町でも、源氏山を中心に137ヶ所、韮山町に33ヶ所の掘削が進み、揚湯量が激減しました。
 温泉集中管理の必要性は、昭和40年代より論じられてきましたが、昭和50年に町のてこいれで準備作業に着手、昭和51年には組合が設立され、(財)中央温泉研究所に設備工事の設計を依頼しました。整備の方法は「循環管網方式」という手法で、源氏山を取り囲んで古奈・長岡地区に管を敷設し、これに泉源よりの温泉を圧入し、温泉を使用する旅館などの各箇所に配湯するという方式です。
 配湯管の総延長は13km、集湯管の総延長は3.8kmで、この環状施設の南端部と北端部に使用ピーク時への対応を考え、貯湯槽を設けてあります。管内の温泉は絶えず循環しているため温度は一定し、夏季は60℃、冬季は58℃を保っています。

伊豆長岡町温泉事業協同組合


■伊豆三古湯とは
伊豆の歴史ある温泉地、伊豆山の走り湯、修善寺、古奈を伊豆三古湯といいます。古奈は伊豆長岡温泉のうち古奈地区のことを言う。古奈地区は温泉とすれば1300年を超える歴史を持つ温泉です。古奈とはアイヌ語を語源とし熱い水の意味をもつといわれている。

■温泉の効用
伊豆長岡温泉のお湯は一見すると、普通の沸かしたお湯と見分けがつきません。無色無臭、低刺激の肌にやさしい温泉なので、妊婦の方や小さい子供にも安心の温泉である。古くは鎌倉時代には源頼朝公が伊豆に流配の際に、この温泉が気に入りたびたび入浴したという歴史ある温泉である。美肌、筋肉疲労、神経痛胃腸病、健康増進、また飲める温泉として効能は絶大です。ph(ペーハー)は8.8とアルカリ側に高く、湯に入るとちょっとヌルっとした感じがする。アルカリ単純泉は肌への刺激が少なく、温泉の化学成分で角質層が柔らかくなるため、美肌効果もあると言われるゆえんである。保温効果があり、沸かしたお湯と比べて湯冷めしにくい。疲労回復、神経痛に良いと言われている。年配の方、あるいはスポーツをやっていて故障が有る人が入浴すると、痛いところ、重たく感じていたところがいつの間にか気にならなくなった、と言うほど温泉の効果がある。

成分
■温泉地、源泉名又は採取地
伊豆長岡町温泉事業協同組合 第1貯湯槽  伊豆長岡町長岡字原掛堰1157-2
第2貯湯槽  伊豆長岡町長岡字車坂1378-4
■泉質
弱アルカリ性単純温泉 (アルカリ性・低張性・高温泉)
■泉温
源泉地又は採取地 第1貯湯槽 59.8℃
第2貯湯槽 62.1℃
■温泉の成分
温泉の成分

第1貯湯槽 r/s

第2貯湯槽 r/s

陽イオン
Na+
K+
Ca2+
165. 8
1. 8
12. 7
164. 8
2. 2
15. 5
180. 3
182. 5
陰イオン
F-
Cl-
OH-
SO42-
HCO3-
CO32-
1. 1
108. 9
0. 1
168. 6
23. 3
15. 7
1. 1
112. 8
0. 1
188. 2
22. 8
15. 7
317. 7
340 7
非解離成分
H2SiO3
HBO2
HASO2
75. 4
7. 0
0. 2
76. 0
6. 1
0. 2
82. 6
82 3
溶存ガス成分 HASO2
0. 1
0. 1
その他の微量成分
Mg2+
Fe2+
Zn2+
NH4+
<0. 1
<0. 05
0. 01
<0. 1
<0. 1
<0. 05
0. 01
<0. 1
総成分 
580. 8
605. 7
PH
(8. 8)
(8. 8)
■温泉の分析年月日
平成 8年 8月 16日
■分析者氏名又は分析機関名
(財)静岡県生活科学検査センター


禁忌症/適応症
  1. 禁忌症
    浴用 急性疾患(特に熱のある場合)、活動性の結核、悪性腫瘍、重い心臓病、心臓病(ただし高温浴(おおむね42℃以上)、呼吸不全、腎不全、出血性疾患、高度の貧血、高度の動脈硬化症(ただし高温浴の場合)、高血圧症(ただし高温浴の場合)、その他一般に病勢進行中の疾患、妊娠中(特に初期と末期)
  2. 適応症
    浴用 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後の回復期、疲労回復、健康増進
  3. 温泉浴用上の注意事項
    1. 温泉療養については、温泉についての専門的知識を有する医師の指導を受けることが望ましい。
      1. 温泉療養を始める場合は、最初の数日の入浴回数を1日あたり1回程度とし、その後は1日当り2ないし3回までとすること。
      2. 温泉療養のための必要期間は、おおむね2ないし3週間とし、湯あたりが現れたら、症状が回復するまで、入浴回数を減じ又は中止すること。
    2. 入浴時間は、入浴の温度により異なるが、始めは3分ないし10分程度とし、慣れるに従って延長してもよい。
    3. 入浴後は一般には安静を守り、入浴後は、湯冷めに注意して一定の時間の安静を守る。
    4. 入浴後は、身体に付着した温泉の成分を水で洗い流さない。(湯ただれを起こしやすい人は、真水で身体を洗うか、温泉の成分を拭き取るのがよい。)
    5. 熱い温泉に急に入るとめまい等を起こすことがあるので、身体にかけ湯をしてから入浴する湯、十分注意する。
    6. 食事の直前・直後は避けることが望ましい。
    7. 飲食しての入浴は特に注意する。
  4. 適応症又は禁忌症の決定年月日 平成 8年 11月 28日
  5. 決定者 静岡県 沼津 保健所所長 久保田裕之

「全国温泉十六佳選・国民新聞社」の銅製碑板
散歩していたらふと目に留まった。調べてみたらこの碑は、昭和5年に選出された際の記念碑だそうだ。徳富蘇峰氏が発刊した「国民新聞」は、大正初期には、「報知」「東京日日」「東京朝日」「時事新報」と並び、東京の五大新聞の一つといわれていた。このイベントは得票数だけで順位が決定されたそうだ。また関東の新聞社であったため、玉造以外は東日本の温泉地。

1位:箱根/神奈川 2位:花巻/岩手 3位:下部/山梨 4位:日光湯元/栃木 5位:瀬波/新潟 6位:吉奈/静岡 7位:老神/群馬 8位:小谷/長野 9位:鬼怒川/栃木 10位:伊豆長岡/静岡 11位:玉造/島根 12位:熱海/静岡 13位:二股ラヂオ/北海道 14位:大室(上牧)/群馬 15位:温海(あつみ)/山形 16位:川原湯/群馬(あと数年で、湖(八ッ場ダム)に沈む温泉)
まゆ玉
伊豆長岡温泉は昔、養蚕が盛んでした。まゆ玉をかたどった、どんどん焼きや餅花などが盛んに行われていたそうです。伊豆長岡のまゆ玉は、旅館の女将さんや芸妓さんの着られなくなった着物をまゆ玉に使ったらきれいだろうなという発想から生まれ広がったものだそうです。