明治社格制について

古代の社格:一宮
大宝律令(701年)によって制定。一宮は国(当時の行政区)で一番有力な神社を指し、次いで高い社格がそれぞれ二宮・三宮となる。

中世の社格:延喜式神名帳(927年)に記載された神社
朝廷から格別の扱いを受けた神社が記載されている。

そして、明治4(1871)年の太政官布告によって神官の世襲制度が廃止され、神社規定等が制定された。

明治時代に入ると仏教との習合により、より複雑化した神社も神仏分離令の名のもと、再編成が実施された。そして、その社格制度も多いに見直されることになり、新たな社格が用いられるようになった。
大きく分けて、3種類の社格に分類される。

官社  官幣社・国幣社の両社をまとめた官国幣社
諸社(民社) 府県社・郷社・村社をまとめた地域社
無格社 上記2社に属さない非常に小さく限定された神社

官社には、それぞれ、大中小という3段階のランクが存在し、この他、2種類の格式を用いることによって、中央集権的に、大きく、有名な神社から、地域主体の小さな神社まで、実に多くの神社を包含することになった(近代になって成立した明治神宮など、新しい神社も含まれる)。詳細は下記となる。

明治社格
官幣社 古くは神祇官から幣帛を捧げた神社。
明治以降は宮内庁から幣帛を共進した神社。
官幣大社、中社、小社がある。
主に皇室尊崇の神社、天皇・皇親・皇族・功臣を祀る神社。
大社62社
中社26社
小社5社
別格官幣社 官幣小社と同等の待遇。
主に臣下・功臣を祭神とする神社。
別格28社
国幣社 官幣社に次ぐ。古くは国司から幣帛を奉った神社。
明治以降は国庫から幣帛を奉った。
国幣大社、中社、小社がある。
主に国土経営に功績があった神を祀る。
大社6社
中社47社
小社44社
官幣社計121社/国幣社計97社=官国幣社計218社
府県社 道府県から幣帛を奉った神社。 1,148社
郷社 府県または市(郷)から幣帛を奉った神社。 3,633社
村社 村から幣帛を奉った神社。 44,934社
無格社 無格という格の神社。格がない社という意味ではない。 59,997社
*摂社 本社に付属し、本社に縁故の深い神様を祀る。
主に本社祭神の后神や御子神。または地主神や縁のある神など。
本社境内にある社と、境外に独立している社とがある。
境外社の場合は明治社格に列格していることもある。
 
*末社 本社に付属する小さい社。
本社とは縁がないが、崇敬者が勧進した神々など。
 
神饌幣帛料供進神社 郷社、村社を対象に明治から終戦に至るまで勅令に基づき県令をもって県知事から、
祈年祭、新嘗祭、例祭に神饌幣帛料を供進された神社。
 
社格列格数109930社(昭和21年2月の社格制度廃止時)
※「伊勢神宮」は社格を超越しているため上記には含まない

社格序列としては、上記表と同様に、
 官幣大社>官幣中社>官幣小社>別格官幣社>国幣大社>国幣中社>国幣小社>府県社>郷社>村社>無格社
の順。ただし、説によっては下記という意見もある。
 官幣大社>国幣大社>官幣中社>国幣中社>官幣小社>国幣小社>別格官幣社>府県社>郷社>村社>無格社

しかし、第二次世界大戦後には、GHQによる神道指令によって廃止されることになる。

現在、神社本庁が示しているのは、伊勢神宮を別格の存在としながらも、他全ての神社は、等しく同じというスタンスなので、社格制度というものは存在しないが、多くの神社では、当時の社格を掲揚するのが大半である。